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[5] 夏菫(トレニア・・・2007(平成19年)9月
07-09-15-14:12

ページを更新させなければと思いつつ8月が過ぎ、気がつけばすでに9月も半ば。そちこちと、萩の便りが届く頃になってしまいました。
今年の夏は暑かった。皆様おかわりございませんでしょうか?

植栽への水やりが大変な夏でしたが、虫も例年以上に多い気がしました。特に蜘蛛と蓑虫。
毎朝庭の蜘蛛の巣を払うのが一仕事。出社しても別館(ケイトヤ・アネックスビル)のガラス張りの壁面が一晩で蜘蛛の巣だらけになっている。ビルの2階にあるイタリアンレストラン「バーンズ・カフェ」からの眺めはぞっともしない。だからこれも、長大なモップとホースを掲げて払って歩く。
蓑虫の方は路地の植栽にぴっちり張り付いて、片端から若葉を食い散らかす。久方に日に当てようと店から出したパキュラの鉢が、一晩で穴だらけにされてしまった。面倒ですが葉の裏を丁寧に探して、一匹一匹もいで駆除するしかない。
そんなこんなで午前中は忙殺され、午後からはひたすら体力の回復。辛い夏でした。

しかし、お取引先様の若い社員の皆様はタフですね。酷暑をものともせずに商談やご機嫌伺いやらに訪ねてくださる。数十社近くお取引様がございますから、津々浦々全国のご同業の動向やら、業界の浮沈の様が巨細に聞こえてくる。
同じ情報を幾通りかのルートで耳にしますと、事の本質が浮かび上がって、改めて得心させられることもある。
楽しい情報を心待ちにしていても、厳しい話も聞かされましたし、あざとい話もありました。
おしなべて、この商売でも、より精密であることが求められているとの感触を得ました。どうやら、事業が肥大化しすぎて、目や手が行き届かなくなったお店が市場からの退場を余儀なくされている。メタボリックな企業体質は命取りであることを見せつけられた夏でもありました。
翻って我が社はどうか。サービスや販売接客の質の低下はないか。仕入れの精度は向上しているか。販促は顧客のハートを鷲づかみにできているのか・・・
トレニアこの業界には教科書はなくて、日々が激流のように流れて行く、かつまた流れて来る。日々新たな挑戦を忘れなかった者だけが生き残られる世界なのだと心を戒めていかねばなりません。

花の少ない初秋に、ベランダに植えたマリーゴールドとトレニアが元気です。こまめに摘花してやれば、次から次へと花芽を吹く。
黄色い花が好きで、トレニアも、大振りの黄色と紫のツートンを見つけてきました。きっと珍種です。これらが幾株も集まって、大きな玉のように育ちました。夕映えに、炎が立っているように見えることもある。
花に、ふと何事かを諭されているような気持ちになってきます。


[4] BARGAINとSALEの差・・・2007(平成19年)7月
07-06-30-18:28

 7月に入ると巷はバーゲン一色。うちも七夕の頃をめどに夏物全品を見切らせていただきます。 とはいえ梅雨もまだ明けぬというのに、暑さの前に夏物を売り逃げるというのは、商人としてはあまり格好のいい話ではありません。7月を控えて、今日はその言い訳を並べさせていただくことにいたします。・・・よけい格好わるいかも。

 今、私、「見切る」という言葉を敢えて使わせていただきました。 本音は見切りたくないのです。あまたの展示会、見本市の中からせっかく見出した自信作ばかりなのですから。
・・・見てください。色出しが違うでしょ。ほら、縫製もしっかりしているでしょ。それにお召しいただければ・・・はい、パターンが違います。ねっ、いい仕事しているでしょ。
だからね、決してお高いとは思わないのです。やはり一手間も二手間も違うのですから。理に叶った値段だからリーズナブルだと思うんです。
それをね、色々な兼ね合いや事情もあるし、時節柄このままつっぱっても切ないし、ちょっと泣きますから、ええ、勉強させていただきますから、はい、ずばり見切りますからぜひお買い上げくださいまし。この際ですから、これもあれも、おついでに・・・と、そもそもこういう掛け合いをシステム化したのがBARGAIN(バーゲン)なのじゃなかったのかなと・・・。

 それに対して、安く買いたいという買い手の欲求をくすぐり満足させることを主眼に置いた商法もあるのかなぁ。
つまり、値引きをしても一定以上の利益を確保できる前提で品ぞろえをしている。安くしているようで泣いてないし、見切ってもいない。もともとロープライスで売って、それでも儲かる価格設定になっている。SALE(セール)は薄利多売とも換言できる。
だから安かろう悪かろうということもあるし、必ずしもお値打ちな買い物をしているとはいえない時もある。
私の語感では、BARGAINというと、値打ちを掘り出すような特別なニュアンスがあって、一方、SALEには、何時でも何処でも誰に対してでも、恒常的に安く売りさばいているような印象をもちますねぇ。
そして今時は、BARGAINが消え、SALEばかりが目に付くご時世になってしまったと感じているのは私だけでしょうか・・・

  ガクアジサイ

 巷では紫陽花が瑞々しく咲き誇っています。その華やかな印象からてっきり外国産の花だと思っていましたが、原産は日本だそうですね。そもそもは、ガクアジサイのような楚々とした花だったのでしょう。西洋で改良された、たわわに熟れた花房により、むしろ花数の少ない紫陽花にこそ美しさを感じます。
だから、といえば余りに言い訳がましいのですが、同じような感性の延長上で、わが社は、SALEではなくBARGAINという表現にこだわっていきたい!・・・って、力ずくですね。

 いずれにしましても7月は、大いに泣かせていただきますから。しっかり勉強させていただきますから。破格に見切らせていただきますから。 どうか、ケイトヤのBARGAINをお引き立てくださいませ。


[3] いずれがアヤメか・・・2007(平成19年)6月
07-05-31-15:32

 今年も、大安禅寺の和尚様より、『花しょうぶ祭』の招待券が届きました。

 この時期になるときっとご招待くださる。今年は6月9日(土)〜30日(土)が催しの期間だそうです。

 今年の花の出来はどうなのでしょう。猪の被害は大丈夫だったのでしょうか。

 もっとも高橋和尚の名説法は、花の出来映えに関わらずいつも冴えわたります。それに加えて、供される精進料理も他にはない味。臨済禅なのに黄檗料理を思わせる華やぎがある。そして圧巻は、なんと言っても千畳敷きでしょう。梅雨時の佇まいも、私は好きです。

 ちょっと下世話な話ですが、「福田-ふくでん」と呼ばれる門徒たちに支えられた真宗系の寺とは異なり、禅寺などは経営は大変だろうと時に案ずることがあります。或いは広大な寺域を家作や不動産に転用するか、或いは幼稚園や学校の経営に乗り出すか、或いはまた寺そのものへの拝観の頻度を増やすことで安定的な収入の道を模索するのか・・・寺の繁栄には、まさに和尚の経営手腕が問われます。

 大安禅寺さんを見ていると、時に私ども商人が脱帽したくなる時がありますね。様々な催しを企画される。寺を盛り立てる為に、和尚様はまさに獅子奮迅の忙しさ。いろいろなアイデアを繰り出して、歴史ある禅寺のイメージを一新してしまった。今や大安禅寺は、心を癒しリフレッシュさせる、マインド・ヘルスセンターだと感じることさえあります。

 和尚とは、いわば禅寺の経営最高責任者、CEOなのではないでしょうか。えっ?不謹慎ですか?罰が当りますかね。いえ、茶化しているわけではありませんよ。九割の尊敬と一割の親しみを込めてそう感じているのです。

花菖蒲  
花菖蒲  
 おっと、話を戻しますね。花しょうぶの話でした。

 ところで私は、いつも気になるのですが、あやめとかきつばた、そして花しょうぶ、無粋な私にはいずれがどれだか見分けがつかない。「あやめ」を漢字で書けば「菖蒲」と変換される。「かきつばた」は「杜若」。では、あやめとしょうぶは一緒なのか?

  杜若
  杜若

 ものの本によれば・・・かきつばたは、水辺を好むそうですね。逆にあやめは湿地を嫌う。日当たりの良い山肌などに群生するらしい。紛らわしいのは花しょうぶ。繁殖力が強いのか、水でも山でもどっちでもいける。だからよく、あやめと花しょうぶを見まごうわけで、あやめとかきつばたは、そもそも並んではあまり見かけぬものらしい。

 よく、「いずれが、あやめか、かきつばた」などと美しさに甲乙つけがたい時の表現を耳にしますが、本来は「いずれが、あやめか、花しょうぶ」というのが正しい言い方だったようです。

 往年の名女優、沢村貞子さんの自伝『わたしの浅草』のなかに、菖蒲湯に触れた一節があって、下町の娘達は端午の節句が来ると、我先に銭湯へ出かけ、菖蒲の束で玉肌に磨きをかけたものらしい。

 そんな風物詩も今時の子供達には「意味わかんねぇ」ことなのでしょうが、花しょうぶは、あやめと華美を競わせるより、その使いべりのしない重宝さが、あたかも下町の娘達のもつ清廉な美しさのように、むしろ奇貨として、独自で尊ばれるようになったと読むのは、思い入れが過ぎるでしょうか・・・

 専門家によれば、花の位置が葉より上か下か、或いは同じ高さかで、三者とも簡単に見分けがつくらしいのですが、・・・細かいことは忘れてしました。

(参考サイト:あやめ豆知識

[2] 2007(平成19年)5月・アップルロードの「はなみずき」
07-04-29-10:13

ハナミズキ  

 駅前アップルロードでは、「はなみずき」の花が咲き始めました。
と書いたら、ちょっと変ですね。なんかややこしい。

 なぜアップルロードに「はなみずき」の木を植えたのか。「はなみずき」を植えたのにアップルロードと名づけたのは何故か。
 いっそのこと林檎の木を植えるとか、はなみずきロードとでも命名しとけばよかった。
 当時のいきさつを知る者として、ちょっと責任を感じます。

 種明かしをすると、はじめに「アップルロード」ありきだったのです。

 その昔(小泉政権発足前夜でしたか)、当時の通産省が「賑わいの街づくり事業」という施策を打ち出しました。「大店舗法」の緩和で壊滅的打撃を受けた旧商店街を再生させようとする救済策でした。

 この駅前一帯を買い物に快適な「遊歩空間」に生まれ変わらせ、往時の活気を取り戻したいと念願していた私たちは、市役所の有為な若手たちとともにこの助成策に飛びついた。役所も我々商業者も、何とかせねばの一念でしたから・・・

 組織を立ち上げ図面を引いて、なんとか国の事業に採択してもらおうと捨身も献身も厭わない毎日が続きました。よく倒れなかった。しかも、あの頃は皆、今とは比べ様もなく目が澄んでいた・・・

 そうやって製作した計画書は、誰が見ても反対のしようがない、そして皆が利益を享受できる完全無欠ものでなくてはなりませんでした。オール与党、全員賛同が大前提。ましてや街路の工事に直接かかわりがでてくる店舗に対しては滑稽なほどに神経を尖らせた。その産物の一つが、実は「アップルロード」という命名だったのです。

 工事第一期区間であるその道路の西側には「ビィ・アップル」、そして東側には西武百貨店の「アップルシティー」が鎮座まします。これからの工事の成否を握るその二大地権者には、この際、思いきり「くすぐり」をいれておく必要がある。憎からず思ってくれることが工事推進の鍵だと・・・若さの故か大真面目にそう考えたのですね。

 当時の市役所側の担当が、高校時代の一級先輩。「アップルロード」という命名は大きな声ではいえないが、この二人の二つのアップルに対する秋波、工事を円滑に進めたい一心から出たいわば「企み」の所産だったのです。その名の由来を問い質す者があれば「天の声・・・」、そうして二人とも肩をすぼめてとぼけたものです。

 「アップルロード」の標識とロゴをデザインした、私本人が言うのですから間違いありません。
 おかげて第一期工事は何ら滞りも遅延もなく無事竣工と相成りました。

 そうした配慮を知ってか知らずか、街路樹「はなみずき」の選定は、「ビィ・アップル」のオーナー伊井與一郎氏の鶴の一声で、あっけなく決まりました。
「林檎にしましょうよ」
と言いかけた私をそっと制したのは、例の共犯の先輩。事業は緒についたばかり。まだ先が長いのだから、木が枯れれば植え替えることもできる、あたら波風は立ててくれるな・・・彼の目はそう訴えているように見えました。

 そんな訳で今年も、うすずみの「はなみずき」が、都心には稀な風雅を添えてくれているのです。


[1] 2007(平成19年)4月
07-04-15-11:07

 さしたる目的もなく、街をそぞろ歩きするのも、案外楽しかったりします。

 「灯台下暗し」じゃないですが、金沢や富山と比べて初めて、福井の街は買い回りしやすいことに気がつきます。

 例えば富山。

 総曲輪(そうがわ)と中央通りが繁華街を形成していますが、端から端まで歩き通すと500メートル以上はあるかしら。後で気になった店にもう一度戻ってみようとしても、これでは体力との相談になってしまう。楽しむどころか、手荷物を持ちながらの往復は難行苦行。そぞろ歩きなどちょっと無理かな。郊外店のほうがはるかに便利に感じることでしょう。

 金沢も然り。

 おまけに、戦後、無理々々道路の幅を広げたせいで、双方向を自在に渡り歩くことは至難になってしまった。畢竟、香林坊(こうりんぼう)などでは、大きな個店しか残れなくなりました。目的店への往還だけでは、買い物を楽しむ街とは言い難いですね。強いてあげれば市庁裏から竪町にかけてが界隈性に富んでいるけれど、商業地というよりは居住区の匂いが濃厚。駐車場が入り混じり、せっかくの住環境が痛ましく見える場所さえある。

 福井はといえば、これ上空から見れば一目瞭然。

 長さ100メートル前後、幅5〜10メートルの歩行路が、縦横に交錯している。つまり富山や金沢に比べますと、繁華街の形がずっと面に近い。広がりがある。これってすごいことですよね。つまり店から店への移動距離が均衡して短くてすむ。買いまわりがしやすい。それに人の目線に立つと、曲がり角が多くて目線を遮られるから、逆に近くによく目が届くし、次の角には何が現れるか、好奇心をかきたてられたりもしますよね。おっ、こんなところにレトロな店が・・・おお、まだこの店あったんか・・・前から気になっていた店、思い切って覗いてみようか・・・

 そぞろ歩きが俄然楽しくなる。

 この街に半世紀。

 福井って案外いいな。そしてこれからもそう思いつづけていくことでしょう。

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